川満由希夫 vol.7  「在り方は能力を超える」 

目的地に向かっていた前里は予定を変更しました。

「記憶の話」で盛り上がった後のことでした。

「豊かさ」についての話を少し聞いていた僕に

「今日は思いっきり豊かな時間を過ごそう!」と言ってくれました。

行きたいところはないか。と聞かれ

「表参道」と答えました。



僕は18歳で東京に出ました。

学校へ行きながらアルバイトをしながら、

週に1度だけ表参道に行きました。

原宿や表参道という響きが、あの頃の自分にとってはとても輝いていました。

そこで何をしていたかというと、ただ歩道のベンチに座っていました。

一通り歩き廻った後は、いつもベンチに座り人を見ていました。

洋服が好きだった僕は、

奇抜な服を着たピンク色の髪の毛の人や、

雑誌に載っているようなお洒落な人を見ながら


「今、憧れていた東京の原宿にいるんだ」


というワクワク感を味わっていました。

特に買い物をするわけでもなく、

ただその時間を過ごしていました。

思えばそれは、あの頃の自分にとって

とても豊かな時間だったのだと思います。



そして約10年ぶりに表参道へ行きました。

あの頃と同じように、何をするわけでもなく

ただ歩いて昔のことを思い出しながら前里に語っていました。

街の景色は変わっていましたが、自分の思いは変わりませんでした。

それよりも「豊かな時間を過ごす為にここに来た」

という初めての経験が、さらに思いを増幅させていました。



そしてその日は、夕方からセッションの予定がありました。

僕もよく知っている方で、僕はその方のことがとても好きです。

どうしても喜ばせたくなる人であり、

その喜びで人を嬉しくさせる人だからです。

もちろんそれだけではないですが。

そして僕は、昨夜の体験の後に

前里以外の人と話すのは初めてになります。


今の状態は、ただそれだけで人に良い影響を与える。

大きな変化をした直後だからなおさら。

今日のセッションの方はラッキーだと思う。

前里はこう言いました。


僕は嬉しかったです。

とにかく誰かに伝えたくて伝えたくて、

この思いはなんなんだというくらい、

伝えたくてしょうがなかったのです。

それが今日できる、という喜びがありました。


そして不思議なことに、

伝える場面を想像するだけで、涙が出そうになります。

出そうになるというのは、出さなかった結果なだけで、

独りでいる時なら確実に号泣していたでしょう。

ただ、35歳の男が二人で表参道を歩きながら、

一方が号泣している姿はあまりにも衝撃的だと思い、

涙をこらえたのです。


その涙の込み上げは東京オフィスに戻るまで何度も続きましたが、

なんとか無事に着きました。



そしてセッションが始まります。

前里が話し始めます。

それは「豊かさ」についてでした。


透視・チャネリングのセッションを目的としていましたが、

始まりは豊かさについてでした。

その理由はシンプルにお伝えするとこうなります。


「豊かな在り方は、透視・チャネリングの能力を超えている」


どういうことか説明します。

ただし、簡単に説明するのでこれがすべてではありません。


透視、チャネリングの能力は訓練次第で習得可能です。

技術を磨くということができるのです。

もちろん、ただ機械的に何かをすれば大丈夫というわけではありません。

心の状態が大きく作用するのは当たり前です。

しかし「豊かな在り方」で在ると

その能力を超えた「分かる」という状態になります。

透視で視る、それを元に情報を伝える。

チャネリングで情報をとる、そして伝える。

という流れが「瞬時に分かる」に変わるのです。


あくまでもシンプルに分かりやすくお伝えしていますが、

実際は何時間もかけてお伝えする場合がほとんどです。


理解としては、透視・チャネリングの能力も

「在り方」の中にあるものだという事です。


まずはこのことを伝えていきました。

「透視・チャネリングのセッション」

というイメージでいらしていた受講者の方も

その豊かさの香りにどんどん引き込まれていきました。

そして、話はどんどん深まっていきます。

その方のお仕事についての角度から、

「豊かさ」ということについての落とし込みが始まったのです。



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