研究生 フルトランス収録レポート 【後編】 

食事を済ませ、
車内でのやり取りの続きを改めて撮り直し、
フルトランスチャネリング仕様に
収録環境を整える頃には、あたりは日が沈んで、
昼と夜の間の空が青く綺麗な数分間の時間を経て、
全員が着座し、ミツさんが目を閉じて呼吸導入に入る頃には
真っ暗になっていました。

そしてそのときに
風がピタッっと止んでいたのを
鮮明に覚えています。



呼吸導入を繰り返すミツさん。

呼吸が深く、そして浅くを繰り返し、
バンガローにその強烈な呼吸音だけがこだまします。

異様な沈黙の中、
皆、息を飲んで「その時」を待ちます。


時折バンガローの外で風が吹いて、
木々が重なり合う音が聞こえます。

そしてまたピタッと止みます。


呼吸の深浅と連動して風が吹き、
そしてピタッっと止むを繰り返し、
一瞬、窓ガラスが振動で揺れたような感覚を覚えました。


まるで何かがバンガロー周辺、
この一帯に降りてきているような感覚。

この、建物の外の世界と中の世界の臨場感が入り混じり、
連動するということはこれまでにはなかったものだと思います。



そしてこの圧倒的な臨場空間を切り裂くように
SANの

「SHARE!!!」

が轟ます。



皆、目を覚ましたように我に返り、
自己紹介を一巡して、質疑応答に入りました。

車内でも白熱した、
シンクロについて、2013について、
ゆきぃさん&一真さんが矢継ぎ早に
SANに質問を投げかけていきます。


人差し指を立て、
数字の1を指し示すポーズをとるSAN。

そしてこれまでよりも
2.5倍は速いであろう手の動き。



ある意味では予想通り、
こちらが準備してきた質問や展開は覆され、
「即興」・「セッション」を要求するSAN。

たじろぐ一同。

そして質問の順番はいよいよ僕にまわってきました。


1年前、僕に質問する順番が回ってくる前に
帰っていってしまったSAN。

そしてこの1年間ずっと
シンクロを見せてくれていたSAN。


動画で見たSAN、音声で聞いたSAN、
流れるように過ぎ去ったこの1年間を回想しながら、
なにか核心をつく質問をしたいと思っていたのですが、
なんと、ここに来て何も浮かびません。


追い詰められた僕は、
常日頃から素朴な疑問を感じていた
「睡眠」について質問をすることにしました。


「人生3分の1は布団の中」
という言葉があるように、
長い人生を生きていく上で、
この睡眠の時間や質をコントロールすることは
とても重要なことだと僕は真剣に考えていました。

そして意を決して放った
「効率の良い睡眠の取り方を教えてください」
という僕の問に対して、
返ってきた宇宙意識SANの答えは


「あなたはずっと○○している」


でした。

僕は恥ずかしくなって
完全に動揺してしまいました。


そして

「いつ○○しますか?」

「あなたには自分本位というものが足りません」

と続きます。


自分本位?自己チュー?

そして再度

「いつ○○?」
「何をやっている時が一番好きですか?」


そして
「ラインを越える」
というキーワードが出てきました。

僕にはまだまだ、シンプルに、
自分が好きなことや関心を寄せるものに
向ける執着・エネルギー値が低く、
その動きが足りないみたいです。

そして驚いたのは、
「あなたの周波数に動きを加えます」と言って、
僕の方に手をかざし、
手のひらを波打つようにして見せたことです。


「今どういうふうに感じますか?」とSAN。


その時僕はお腹がじんわりと熱くなって、
そしてそれが胸に上がってくるような
感覚を感じていました。



言葉のやり取りでもって
頭の中の方程式を変えるのではなくて、
直接手で僕の意識に触れて、
そしてその手で僕の「心」の中にある
世界に対する認知を触わり、
その体験するリアリティを変える、
といったような感覚でした。

この物凄くシンプルな行為・「初体験」に
少し僕は呆然としてしまいました。

そして「何をやっている時が一番好きですか?」
の問に僕が詰まっていると、
「なぜ今笑っているんですか?」と聞いてきました。

僕は詰まりながらも、
このSANとのやり取りの空間がシュールで面白くて、
思わず顔がニヤニヤしていたのだと思います。


パワフルでワイルドなイメージがあるSANですが、
僕がはじめてやり取りした中で感じたSANは、
繊細さ、温かさ、がありました。

声が大きくて手の動きが速く激しいイメージがあったのですが、
こちらのことをよく観察し、軽いタッチで触れてくる
紳士的な大人の気配り・心配りをを感じました。



そしてその日の夜や、
翌日の移動中にミツさんに

「公彦くん、なんだか動きが速くなっているね」

と言われました。


「優しい…」

僕は思わず心の中で、
SANに対してその思いをはせました。












そして2日目の午前中に、
2回目のフルトランスチャネリング。



もはや、SANがこの現実に登場し、
影響を与えることは至極当然のような世界。

2013年への加速は始まっていて、
エネルギー的にはすでに足を一歩踏み入れている状態。


わくわくしつつ、冷静に情報を咀嚼し、
その層が剥がれ落ちた透明な世界に
胸をときめかせて思いをはせる。



静かな青い情熱の中に宿る、
暖かい力の抜けた赤い灯火。

その灯火は、じっと自分の出番を待っているかのように、
時折その輪郭をなぞりながら、少しづつ躍動をはじめる。


僕たちが重ねて着たその遠慮を脱ぎ捨てて、
自らの意識を目覚めさせるとき、
個々の表現が織り成す化学反応や、
それが世界に及ぼす影響力は全くの未知数で、
そのとき世界が交響曲のように調和をもって、
その透明感を奏でることを想像する。



とても長い時間そこにいたかのような感覚に
後ろ髪を引かれつつ、チェックアウトの時間も差し迫り、
僕たちは荷物をまとめてバンガローを後にしました。

帰りの車の窓から見える12月の沖縄は、
心なしか、これまでよりも緑は色濃く、
昨日同様、灰色の空にもかかわらず、
空気は透明感を増し独特の美しさを放っていました。





「リアリティが変わっているね」





一真さんがつぶやいたその一言に、
皆の思い、そのすべてが包括されていました。













前里光秀研究所  研究生 比嘉公彦
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