研究生 東京レポート⑤ 

社会からは、
「与え合うことではなく奪い合うこと」
を教えられます。

根底にあるのは、
「そうでもしなければ自分は価値が低い」
という無価値観、コンプレックス。


人類は「自分の創造性を見たくない」
と歴史上隠し続けてきました。

そこに慣性が働いていますから、
人は創造性を発揮しようとするときに恐怖心を感じます。



人は誰でもみなピカソ級の創造力をもっています。

自分の創造性を発揮して幸せな人生を歩みたい。

なぜそのシンプルな行為をするときに、
いちいち恐怖心を感じなければならないのでしょうか。



僕は講義が終わった後に
そのことをミツさんに聞きました。

するとミツさんから返ってきた言葉は、

「両親を含む社会から、
 あなたはこういうものだ
 と教えられてきた。ただそれだけ」

と拍子抜けするようなものでした。

そして素直な人ほどその罠にかかりやすいと。


なにか人類の有史以前から続く、
壮大かつ悲劇的なストーリーがあり、
これを講義中に質問すると逸脱してしまうんじゃないか
という僕の気配りは自意識過剰な取り越し苦労だったようです。


「たったそれだけのことなのか…」と、
僕は12月の冷たい東京の空気に頬を撫でられながら、
人ごみの中路上に立ち尽くしてしまいました。





お昼休憩を挟み、午後の講義は
「つかみとらくなてもいい」という状態と「つかみにかかる姿勢」
この相反するような2つの概念について紐解いていきました。


「つかみとらなくてもいい」という状態は、
「つかめることを知っている」、「いずれつかめる」
という確信をもった価値満タンの状態です。

「doよりbe」
「ガーデニングをしていれば蝶蝶は向こうからやって来る」

などに表現される状態です。

大学ではこの「be」に関する事項が
圧倒的に多いように感じます。


一方「つかみにかかる姿勢」というのは、
「do」に比重をおいたハンターの状態です。

「チャンスは生もの」ですから、
「今だ!」というときに躊躇せず
ササッと動くという瞬発力を重要視しています。


これまでも前里光秀研究所のワークショップなどでは、
この「つかみにかかる姿勢」の重要性を説いてきたと思います。


この2つは相反するのではくて、
まず最初に「つかみとらなくてもいい」
という状態をつくります。

無限にある時間の中で、
自分がつかみたいと思うものはいずれつかめるわけですから、
何も焦ることはありません。

今の自分をじっくりと味わい尽くします。


ゆったりとした時間の中で、
自分が好きなことをして「豊かさ」を感じます。

それは創造性に感謝している静かな状態です。


この状態が出来てくると
「do」が溢れ出してきます。

次はあれをしよう、明日はこれをしよう、
今度あの人に会うときはこういう言葉をかけてあげよう、
などと色々なアイディアが溢れ出てきて
いろいろなことをやりたくなってきます。


この状態がチャンスを引き寄せます。

自分が行きたいと思っていた場所や、
自分が望んでいた状況にスッと入ります。


仕事をもっとがんばりたいと思っていた人は
大きな仕事をふられるかもしれません。

そしてそのときにパワフルに「do」をやります。


この「あり方」がキチッと決まっている状態でやる「do」には
パワーがあります。

「つかみとらなくてもいい」という静かな状態から
「つかみにかかる姿勢」という動きが
にじみ出てくるのですね。


逆にいうと、何も「do」が浮かんでこないという場合は、
あり方「be」ができていないということになります。

もう一度足元からしっかりと
「be」をつくりあげていきます。

「be」をつくりあげるというのは、
豊かで静かで、とても楽しいことだと思います。


紙一重のようですが、このバランス感覚のようなものは
日常的な実践の部分で感覚としてツボどころをつかむものだと思います。

本質には色があり、形があり、
感覚的に触れることができます。



子供のときに、自転車に乗ることを最初は難しく感じていたのに、
いつの間にか乗れることが当たり前になっているように、
この創造の仕組みや本質も、知識として「知っている」のではなくて、
感覚的に「わかる」という状態になるんだと思います。


電車での移動中に一真さんが、

「地を這うくらいの気持ちで意識の重心を下げていくと、
 ツボが浮かんで見えてくる」

という話をしていました。


この、地を這うくらいの気持ちで意識の重心を下げるのが「be」、
ツボが浮かんで見えてきて、このツボをつく行為が「do」ですね。


急いで葉を広げるのではなくて、
しっかりと時間をかけて根を張る。





「doよりbe」









前里光秀研究所  研究生 比嘉公彦
関連記事