川満由希夫 vol.8  「人は救えない」 



カウンセリングとは何か。

一言で伝えることはできません。

カウンセラーは世界中にたくさんいて、

そのカウンセリングを受ける方はさらにたくさんいると思います。

その手法はさまざまで、もしかしたら何千、何万という単位で存在するかもしれません。

だからこそ一言で伝えることはできない。


しかし、今回のセッションの途中からの内容は、

その「一言」に限りなく近いものなのではないかと、

僕は個人的に感じながら話を聞いていました。


受講者の方の質問

「カウンセリングにはどうしても時間がかかる」

「なぜミツさんは一時間でそれを完結させることができるのか」


たとえば心の病で悩んでいる方は、

何回も何回もカウンセリングをし,

少しずつ状態が良くなっていくというのが基本的だ。

その方はそう話します。

そう決めつけているわけではなく、

実際にご自身がカウンセリングをする時のスタンスがそうなんだと。

しかし、前里の場合、たった一度の1時間のカウンセリングで、

その状態から抜け出したという方も少なくない。

それを知っての質問になるのだが、

なによりも、受講者の方の仕事に対する姿勢が素晴らしい。


そして話は少しずつ核心へ。


「本当の意味で人は救えない」


前里はこう言いました。

それはこういう意味でした。


「人はすべて価値満タンだから」


価値満タンな人を救うということには矛盾があります。

どんな知識や、技術も、たとえば

「溺れかけている人を船に引き上げる」

という元が発信になるのは少し矛盾が生じる。

元々、自分で船に這い上がる力を持っているということです。

だから、手を差し伸べるのではなく、

自分で船に上がることができることを、

その方法を伝えるというのがより正解に近いです。

しかし、これは僕の考えによる例え話です。


前里はこう言っていました。

カウンセラー自身が完全に幸せで在ることが、

最高のカウンセリングになるんだと。


要するに「豊かさ」の話に戻ってきます。

ここでは簡単にお伝えします。


「豊かな状態とは、価値満タンを知っている状態」


カウンセリングには言葉も大切、知識や技術も必要だと思います。

だけど、価値満タンを知っているという豊かな状態で在ることが、

それを超えるという事です。


続けて前里はこう説明しました。

自分の価値満タンを知っているからこそ、

相手も価値満タンだということが心でわかる。

だから相手の負のような感情には乗らない、合わせない

自分の価値満タンを溢れさせながら、

相手の価値満タンのみを見続ける。

カウンセリングの中で必ずやるのは

「あなたは価値満タンです」

と伝える事なのだと。

もちろんその伝え方にはいろいろな方法があると思います。

だけど、その1点に向かっていくことが、

最高のカウンセリングなんだと僕は思いました。


豊かさとはすべての土台であるということに、

僕も受講者の方も触れることができました。



そしてこのあと、僕が受講者の方の前に座ります。


実は、途中ですでに胸の辺りが熱くなっていて、

今にも涙が溢れそうなほどでした。


関連記事