2.その人について 『表参道回顧録』 

賑やかな表参道から少し裏通りに入ると、
住宅街のような静けさに引き込まれた。

そこから表参道に視線を向けると、
人は流れているのに、音が聞こえない。

まるで空間だけではない
何かを分断しているように、

そこはひっそりとしていた。



赤と白を基調としたエントランス。

そのエレベーターで3階に上がると、

コンクリート打ち放しの空間が
ただ広く広がっていた。

光といえば
弱々しい日差しが差し込むくらいで、

暗めのスポットライトが
全体を照らすようになっていた。



そこで、その人は待っていた。



「お久しぶりです」



そう言ったその人は、
黒のシャツにグレーのジャケット。

服装は当時とは大きく変わっていたが、
その優しい表情というか落ち着きは変わらない。

それでいて、どことなく分からないところがある、
という印象がいつもある。



「いやいや、お元気ですか?」
と僕は言いながら、

緊張を隠した挨拶のあとに
雑談をはじめた。



これから、何かが始まろうとしている。

そう考えると
ワクワクしすぎて心臓に悪かった。





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「その人」とは、誰でしょうか?

それは、多くの人は
誰だか想像がつくと思います。

でも、実際には違うのですが、
それは後からお伝えしますね。



それでも、その人との対話で学んだことは、
誰かにとって助けになるかもしれません。

また、光を照らすかもしれません。

そう、その人は光を照らす、

どうやら、人のもっている光を
引き出すことが得意なよう。

だから、ここでは
仮に「光さん(以下、ミツさん)」と呼びますね!



はじまった、初日。

ミツさんは、静かに、しかし力強く、
講義のような対話をスタートさせました。
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