『ある一つの物語』 

“ money game ”







お金2






幾重にも重なり合いブルーのコントラストが
絶妙な美しさを創り上げるタイル張りのプール。




その水の中を長い黒髪の女性
ゆったりとそして優雅に泳いでいる。




太陽の日差しが反射し
キラキラと輝きを放つプール。




よく見るとその光の正体が
はっきりと輪郭を帯びてきた・・・・・・




プール一面に、世界中の紙幣コイン
散りばめられているのだ。




彼女はその中を楽しそうに、
そして優雅に、また無邪気に泳いでいるのだった。



その姿はまるでお金と戯れ、
遊んでいる様にも見える。








お金1







世界中の様々なお金と遊び尽くした彼女は、
ゆっくりとプールから出て、
厚手の白いガウンをはおりながら颯爽と歩き出す。




一面ガラス張りの大判の窓から家の中へ入っていくと
スタッフが笑顔で待っていた。




『お金セミナーの構成が出来上がりました。』
とスタッフが伝えると
彼女はその資料に目を通すなり、




『これって、楽しいの?』
『もっとお金とゲームをして遊んでいる様な内容じゃないと
お客様は喜んでくれないわよ。』
と厳しい口調でありながらも、美しく通る声で答えた。







彼女は『お金セミナー』の主催者なのだ。







そのセミナーはとても斬新で一回受けたら
もっとこの感覚を味わいたいと
多くのリピーターを産むほどのパワーを持つ。





ハワイで開催されているにも関わらず、
わざわざ日本を中心に中国タイ香港からも
お客様が駆けつけるほど人気のセミナーである。









ではなぜ、ここまで人気なのか?

それはお金に対する意識そのものが
書き換えられるからである。



お金に人格を色付け
お金一つひとつに役柄を張りつけていく




その役を演じながら、
お金がどうやって動き
どう流れ、生み出されていくのか?

まるで一つの舞台を観ているかのような
構成力や脚本力で観る者を圧倒させる。




その面白さ、親近感、斬新さで
お金の気持ちや人格までもが身近に感じていく。




今までお金から嫌われるような動きをとっていた
自分自信の行動が分かりやすく浮き彫りになっていくのだ。










プール




ちょうど昨日、行われた『money game』
彼女が少し前に泳いでいたプールが舞台だった。







参加者全員が紙幣やコインが散りばめられたプールで泳ぎ、
子供の様に無邪気にゲームをしていくのである。





黒髪の女性
『$390を一番最初に
この宝石箱へ入れた人が勝ちです!!』と
高めの声で皆を促していく。




その言葉を皮切りに、
はしゃぎながらも、必死でお金を掴みとる大人達。
その姿は、遊びながらも真剣そのもの。




このちょっと破天荒でもある『money game』により
『お金を掴む事は楽しい』という感情が
意識へと貼付けられていく。





まるでオープンな催眠療法を受けているかのように
今まで、お金に対する罪悪感
嫌悪感が綺麗に消えてなくなっていく。




また日常に戻った時に
無意識にお金に話しかけたり
お金と遊ぼうとし出すまで変わっていくのだ。





この感覚がお金を引き寄せ、
お金と仲良くなり、
お金が集まっていく。




そして徐々に『経済的自由人』
レールへと足を踏み入れていくのだ。








お金3









4年前まではお金に罪悪感があった彼女が
なぜ『お金セミナー』を主催するようになったのか?










それはある『チャネリング会』
参加したのがきっかけだった。




最高な未来の自分と直接、対面し
話した事が今、現在へと繋がっている。





この時から彼女の運命が
活きよいよく動き始めたのである。




不思議な体験が、
あの時の自分では全く思いも寄らなかった
未来へと動き始めたのだった。




でもここは
まだ通過点でしかない。








『money game』はまだまだ続いていく・・・・・・








作者 松永みやこ